相続税についても、法人税(会社)や所得税(個人)と同じように、税務署の調査対象となります。
今までに、相続税だけでなく、法人(会社)や個人事業の税務調査も多く経験してきました。
しかし、税務署の資産課税部門が担当する相続税の税務調査は、その事前調査と情報収集能力において別格です。
正直なところ、その調査能力・情報収集能力には、毎回、舌を巻き、頭が下がります。
税務署は事前に申告内容について、質問調査権により、 銀行や証券会社などの金融機関に書面などで照会し
申告漏れがないか入念に調査します。また、金融機関、証券会社、保険会社などからの支払調書、法務局の
登記情報、都道府県・市町村の各種登録データ、海外機関からの報告データ(CRS)、過去の税務申告内容など
あらゆるデータを収集して事前に分析しております。
マイナンバー制度の導入により、この事前情報収集、事前分析は、一層高くなることは間違いありません。
また、最近の傾向として、合法であっても「相続財産の評価額が実態よりもかなり低い場合、多額の借入により
評価額を大幅に圧縮しているケース、相続直前の極端な節税対策、節税だけを目的として相続後に処分したケース」
など否認されたケースがあり、注意が必要です。
当事務所の節税対策では、今のところ指摘を受けた事例はありません。
やはり、節税対策はやり過ぎず、ほどほどが良いと思います。
当事務所は、相続税の税務調査についても、今までの経験と知識を活かして誠実・丁寧に対応します。
税務調査が行われる場合の事前説明と準備、注意点の確認、当日の対応・立会のポイント、税務調査実施後の
対応方法、修正申告などについても、丁寧に対応いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
国税庁の発表によると、その調査を受けた申告のうち、約85%で申告漏れがあったとのことです。
簡単に国税庁の調査状況をまとめると、
調査では、現金・預金・有価証券など見つかりにくいと思われる金融資産は、
必ず重点的に調査の対象となります。
以前は、郵便貯金は把握されにくいなどと一部には言われていましたが、
実際には発見され易く、罰金まで課されますから、相続財産から除外することはできません。
最近では、海外の金融資産についても重点調査対象として申告漏れを指摘されるケースが多くなっています。
亡くなる前の約3~5年の期間にわたって引き出した100万円以上の金額については、 その使途は調査対象と
なる可能性があります。これは、隠し預金や本人以外の名義の預金(他人名義預金)となっていないか、
申告されていない他の資産の購入に充てていないかなどを確認するためです。
また、生前に不動産の売却などをしている場合には、亡くなる10年から20年前までも調査の対象となることが
あります。
預金は、本人名義は当然として、本人名義だけでなく妻名義の預金や子供名義・孫名義の預金も調査の対象に
なります。株や投資信託などの有価証券についても同じです。
これは、名義は違っていても、その名義人の収入状況との整合性がなければ、
その財産は亡くなった方が出していたと考えられるので注意が必要です。
形式的な名義人のものは認められません。 これを、他人名義預金と言います。
名義を借りただけの預金を作っても認められませんから、生前に贈与という形で、財産を引渡した証拠と
贈与税の申告を適正にしておく事と通帳と印鑑は、名義人が実質的に管理していることが必要です。
生前贈与の申告漏れ、生命保険の申告漏れ、保険契約等の解約返戻金の評価もれ、金地金、絵画、掛け軸、
骨董品の計上漏れなどにも注意が必要です。