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事務所だより

2024年10月16日

相続時精算課税制度の注意点!

平成15年(2003年)から導入されたこの制度、もう20年以上経過しております。
相続税の申告時に実務上の問題点が出てきました。
相続税の申告の際には要注意です。

(1)20年以上前の相続時精算課税制度の申告書の控えが紛失などで残っていない。
(2)被相続人(特定贈与者)が亡くなっており、確認できない。
(3)受贈者(相続人)が20年以上前のことで覚えていない、分からない、控えも保管していない。
(4)ほかの相続人もほとんど知らない場合が多い。
(5)20年以上前の担当税理士と変わっている、または税理士事務所を変えている。
(6)会計事務所も20年以上前の相続時精算課税制度を記録、保管できていない、または、担当者が変わり引継ぎできていない。

つまり20年以上も前のことを正確に記録して、保管していることの方が難しいようです。
しかし、相続時精算課税制度を利用すれば、最大2500万円まで無税なので、相続財産としてはかなりの金額であり、相続税額にも大きな影響を及ぼします。
さらに、相続税は、計算の仕組み上、相続財産に加算する金額が増えると、ほかの相続人の税額にも影響するので、後から判明した場合には、相続人全員に影響します。
なお、平成27年(2015年)から相続税の基礎控除も引き下げがあり、課税対象が増加しており、導入当時とは納税環境も変わっております。

関東国税局では、相続人代表者へのお知らせなどで、相続時精算課税制度の事前通知があるようですが、まだほかの地域では制度化されていないようです。
記憶があれば、受贈者本人が税務署で相続時精算課税制度の控えを書き写すことは可能です。(写メも可能です)

相続人、税理士が相続時精算課税制度の適用が分からない場合、失念している場合は、要注意です。申告期限後に税務署から連絡があれば、修正申告、加算税の対象となります。遺産分割協議に影響が出る可能性もあります。事前に税務署で確認するか、申告期限より余裕をもって事前に申告して税務署からの修正連絡で間に合う場合もあります。

とにかく、人の記憶には限界があるので、相続時精算課税制度の適用時には、その控えを重要書類として、受贈者、贈与者、会計事務所でしっかり保管するようにしましょう。


2024/10/17 Tenjin3

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