【第2弾】
昨年12月に国税庁より「2023年度の相続税の調査状況」が公表されました。
今回の公表サイトに記載されている文言を参考までに。
① 「納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正な課税を実現するため、
相続税調査の実施に当たっては、CRS情報、租税条約等に基づく情報交換制度を効果的に活用するなど、
海外資産の把握に努めています。」
今後も資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案など、
海外資産関連事案については、積極的な調査が予想されます。
② 「無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・ 納税を行っている納税者の税に対する
公平感を著しく損なうものであり、 資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を
積極的に行い、 的確な課税処理に努めています。 」
③ 「国税庁では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、
積極的に資料情報を収集するとともに、相続税調査等、あらゆる機会を通じて
財産移転の把握に努めており、 無申告事案を中心に、
本事務年度も積極的に贈与税の調査を実施します。」
相続税に関する国税当局の調査能力・情報収集能力は、驚くほど素晴らしく優秀です。
合法的な対応と適切な相続税の申告が一番です。
私が個人的に重要と思われるポイントをまとめました。
① 年間15万件の相続税の申告があるので、約6%の割合で税務調査が行われる。
② 税務調査が行われた場合は、約80%以上の割合で申告漏れが指摘されている。
③ 申告漏れで最も多いものは、現金・預金であり、金融資産である。
④ 申告漏れの金融資産は、名義預金(親族などの他人名義)がほとんどと思われ、
実務でもその帰属は判断が難しく、税務調査で問題となる場合が多い。
⑤ 海外資産・海外取引の調査件数が増加しており、税務署も国際取引に注意している。
⑥ 相続税の無申告に対する調査件数が増加しており、税務署は、生前から情報収集を行い、
財産状況がしっかり把握されている。
今後は、基礎控除の減額などにより、相続税の申告件数が一気に増加することが予想されるため、
無申告には要注意である。
⑦ 税務調査の前に、すでに申告漏れが把握されています。
生前の収入状況・所得税の申告状況、以前のご相続の状況、 不動産の状況などと
相続税の申告内容がバランスすることが重要です。
⑧ 1件当たりの申告漏れの金額から、税務署ですでに把握されている申告漏れの納税者はもちろん、
相続税の高額の納税者も、調査の対象となっています。
⑨「税務署からのお尋ね」文書、電話、税務署での面接などの簡易な接触が増加しており、
実地調査とともに効果的、効率的な税務調査が増加している。
簡単にまとめれば、家族名義の預金や金融資産の扱いに注意すること、
海外資産・海外取引についても申告漏れがないか注意すること、
基礎控除を超えて相続税の申告が必要かどうか、
注意すること、ということでしょう。
「国税庁からの発表サイト」はこちら
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sozoku_chosa/index.htm
2025-1-22 Tenjin3