2024年12月に「2023年分の相続税の申告状況」が国税庁より公表されました。
2023年中(2023年1月1日~2023)年12月31日)に亡くなった人から、
相続や遺贈などにより財産を取得した人に係る申告状況の概要のまとめとなります。
1 被相続人数
被相続人数(死亡者数)は約157万人(前年約156万人)、 このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約15万5000人(前年約153万800人)で、 課税割合は9.9%(前年9.6%)となっており、前年より0.3ポイント上昇しました。
高齢化社会の影響で、やはり年々、死亡者数は増加しておりましたが、今回は高止まりのようです。
また、課税割合は2015年度の基礎控除引き下げなどの改正年度から大幅にアップしております。改正前までは、約4%でした。今回では、亡くなった方の約10%が課税対象となります。10人に1人の計算です。
「被相続人数(死亡者数)」は、厚生労働省統計情報部「人口動態統計」による。
ちなみに相続人数は339,000人(前年度329,000人)で、亡くなった人1人当たりでは、2.1人(前年度2.18人)となっています。
2 課税価格
課税価格は21兆6,335億円(前年20兆6840億円)で、 被相続人1人当たりでは1億3,891万円(前年1億3,711万円)となっています。課税価格は約5%の増加です。
「課税価格」は、相続財産価額から、被相続人の債務・葬式費用を控除し、 相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への生前贈与財産価額及び相続時精算課税適用財産価額を加えたものです。
3 税額
税額は3兆53億円(前年2兆7989億円)で、 被相続人1人当たりでは1,930万円(前年1,855万円)となっています。
つまり、亡くなった方の10人に1人は相続税の申告が必要で、平均すると1人当たりで約1億4千万弱の財産を残し、相続税で約2000万弱の税額が発生しています。あくまで平均ですが、税率は約14%です。相続税は超過累進税率なので、平均値は目安程度となります。
実際のところ、相続財産が1億4千万の場合、相続人の状況(配偶者と相続人数)にもよりますが、多くても10%まではいかないと思います。
4 相続財産の金額の構成比
相続財産の金額の構成比は、土地31.5%(前年32.3%)、 現金・預貯金等35.1%(前年34.9%)、有価証券17.1%(前年16.3%)となっています。
相続財産については現金・預貯金の比率が年々確実に上がっていることが注目ポイントです。総財産の3分の1以上を現金・預金が占めています。
また、国税庁が進めているe-taxの利用状況も報告されています。相続税でe-taxを利用している件数が85千件、利用率が37.1%とのこと。こちらも年々増加しており、本年度から、当事務所も導入予定です。
国税庁の公表HPはこちらです。
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sozoku_shinkoku/index.htm
2025-1-10 Tenjin3