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相続税の節税対策と税務調査

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相続税の節税対策

相続税の節税は必ず可能です。計画的・長期的に実行すれば、大きな節税も可能です。
しかし、一番大事なことは、みなさまが安心して、円満なご相続の手続きができることであり、 税金を減らすことが一番ではありません。 過度な節税対策は、ご相続後に「争族」となって禍根を残すこともあれば、 生活に支障をきたすこともありますので、ご注意ください。 当事務所では、もちろん、合法的な範囲内に限り、節税対策をクライアントの方にご提供しております。 過度な節税対策はお勧めしておりません。 (税務署(資産課税部門)の相続税に対する調査能力・情報取集能力は群を抜いて優秀です。 脱法的な行為は一切、関与できませんし、不可能と考えてください。)

以下の代表的な節税対策がありますが、みなさまの資産状況、収入状況に応じて、相続税だけでなく、 法人税・所得税・社会保険なども含めた総合的な節税対策をご提案することが可能です。
お気軽にご相談ください。

節税対策を実行する上での注意点です。

  • ① 円満なご相続が第一の優先順位です。
  • ② 過度な節税対策は控えめに、納税資金とご相続後のみなさまの生活を考慮してください。
  • ③ 相続人(配偶者と子供ほか)ではなく、ご本人(被相続人)がご自分の意思で、 生前に実行することが前提です。ご本人のご協力が必要です。
  • ④ 税務署は優秀です。ごまかせません。合法的に節税対策を計画的・長期的に実行しましょう。
  • ⑤ 相続人へのバランス・配慮の取れた遺言書を活用して、安心・円満なご相続を。

1.生前贈与の活用

写真:始めよう生前贈与

贈与税は高い、と言われる通り、相続税の課税逃れを防ぐために贈与税の税率は高く設定されています。 しかし、生前贈与をすれば、1人当たり年間110万円までの基礎控除がありますから、 長期的に着実に実施することで多額の節税が可能です。 例えば、子供だけでなく孫やその配偶者など5人に贈与すれば、1年間で550万円も贈与できることになります。

ただし、毎年定額で規則的に贈与することは、 当初にその金額の贈与があったとみなされる場合がありますので注意が必要です。 10年間続ければ、約5,000万円もの贈与が出来るわけですから、節税効果は高いのです。 また、シミュレーションにより相続税の実効税率よりも低い税率であれば、 贈与税を支払っても贈与することが節税となります。

毎年の贈与については、契約書を作成する・振込扱いにするなど、贈与の記録を確実に残すことが必要です。 場合によっては、公正証書を作成するケースもあります。また、形式的な贈与は認められませんので、 贈与したものについては、受贈者(もらった人)が自由に使用し、管理することが必要です。

ただし、相続が発生した時点から遡って3年以内に子供など相続人に贈与されたものは、 贈与がなかったものとされ、相続税の対象になります。なお、孫やお嫁さんなど相続人でない人に対する贈与は、 相続時に遺贈されない限り、加算されません。いずれにしても、なるべく早く生前贈与を始めたほうが良いでしょう。

2.賃貸収益不動産の活用による評価減

更地で土地を持っている場合は、そこに賃貸建物を建てることで相続税評価額を大きく下げることができます。 なかでもアパートやマンションを借入金で建てて賃貸収益物件とすることは、 多くの地主さんがとっている典型的な相続税対策です。 ただし、借金は収支状況を慎重に検討して返済可能なものでなければ、 資金繰りに苦労します。家賃相場の下落リスク、空室発生リスク、修繕発生リスク、 金利変動リスクなどを考慮して計画を立てるべきです。 たとえば、評価5,000万円の更地に1億円の賃貸建物を建築した場合、

土地の相続税評価 = 更地評価額 × (1 - 借地権割合×借家権割合)
= 50,000,000 × (1 - 60% × 30%) = 41,000,000円
賃貸建物の相続税評価 = 固定資産税評価額(約60%) × (1 - 借家権割合)
= 60,000,000 × (1 - 30%) = 42,000,000円

概算で上記のような評価となります。 つまり、土地の更地評価と建物購入資金の計1億5千万円が賃貸不動産として活用することにより、 8千3百万円までに軽減できる計算になります。 その地域の借地権割合や固定資産税の評価額、賃貸物件の空室状況によっても評価は異なりますが、 大きな評価減により節税効果が得られます。

3.小規模宅地特例等の評価減

相続人の今後の生活や事業を保護するため、すべてを時価評価とするのではなく、 被相続人や親族が居住用もしくは事業用等として使用していた宅地については、 一定の部分について評価額を減額する特例制度があります。
相続財産のうち、居住用は330㎡まで、故人の事業が不動産貸付業の場合は200㎡まで、 不動産貸付業以外でかつ特定事業用宅地等に該当する場合は400㎡まで、 評価額を50%または80%減額することができます。 ただし、申告期限までに遺産分割が成立し、申告書を提出することが適用条件です。

  • (1) 80%の評価減に該当する要件は、まず配偶者が自宅の土地建物を相続する場合です。
  • (2) 同居していた子供が取得した場合も同じように80%評価減が適用されます。 ただし子供の場合は、相続税の申告期限まで継続して住み続けていることが必要です。
  • (3) 自宅の土地の取得者が複数いる場合は、 その取得者のなかに配偶者または上記(2)の要件に該当する子供が1人でもいれば、 自宅の土地全体について80パーセントの減額の適用があります。

特定の小規模宅地等の要件は細かく複雑なので、事前に適用できるかどうか、 十分確認する必要があります。お気軽に当事務所までご相談ください。

4.養子縁組の活用

相続税は、その計算上、法定相続人1人当たりの法定相続財産に累進税率をかけて計算します。 したがって、相続人の数が多ければ、1人当たりの金額が減りますので、税率が下がることにより税額も少なくなります。 また、相続人が一人増えれば、相続税の基礎控除額が600万円増えますし、 退職金や生命保険金の非課税控除の計算でも1人分大きくなります。 ただし、民法上は、養子縁組できる人数に制限はないのですが、相続税法上は、実子がいる場合は1人だけの養子、 実子がいない場合は2人までの養子しか法定相続人として認められません。 なお、実子が健在なのにその子供である孫を養子とした場合は、相続税額が2割加算されます。 ただこの条件が付いても、養子縁組をしたほうが相続税としては一般的に有利と考えられます。 養子縁組は戸籍に記載されることや改姓も考慮すべきですから、慎重に検討する必要があります。

5.生命保険への加入

生命保険は、民法上の相続財産には該当しません。ですから、相続人での遺産分割協議の対象にはなりません。 ただし、相続税の計算上はみなし相続財産として、一定金額を越える部分は課税の対象となります。 この一定金額とは、500万円×法定相続人の数までの非課税金額で、 その非課税枠を活用して生命保険に加入することは、節税になります。 法定相続人が3人の場合、預金で1,500万円を相続で取得すると評価額は1,500万円ですが、 生命保険金で1,500万円受け取った場合は評価額が0円となりますから有利です。 年齢が上がるほど生命保険料は高額となり、年齢や病気などにより加入できない場合もありますので、 早めに生命保険に加入することが望ましいとされています。

6.夫婦間の贈与特例を活用

夫婦間で居住用不動産の贈与を行う場合に、下記の条件の下で最大2,000万円の控除が受けられる制度があり、 生前贈与として活用できます。なお、相続税の計算上、3年以内の生前贈与加算の制度がありますが、 この控除額までは加算されませんので、夫婦間での贈与による評価減が可能となります。

写真:夫婦間の贈与特例を活用
  • (1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。
  • (2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること、 または居住用不動産を取得するための金銭であること。
  • (3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、 贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、 贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き居住の見込みであること。

7.配偶者控除の活用

相続税の税額を計算する上で、基礎控除と並んで配偶者控除という制度があります。 妻や夫(配偶者)が相続する財産の税額に対しては、まず1億6,000万円までは相続税がかかりません。 また、いくら相続財産が多くても、配偶者の相続分が法定相続分 (相続人が第一順位「子供」なら2分の1、第二順位「父母」なら3分の2、第三順位「兄弟姉妹」なら4分の3)の 範囲内であれば、相続税がかからないのです。

例えば、遺産が10億円あっても、配偶者が受け取る相続分が、 法定相続分(2分の1とする)の5億円までなら、配偶者にかかる相続税はゼロです。 ただし、この配偶者控除の適用を受けるためには、税務署への申告が必要となります。 申告期限は、相続税の申告・納付期限と同じく、相続開始から10ヶ月以内です。

この配偶者控除を活用すれば、相続人が配偶者と子の場合、1億6,000万円までの相続財産であれば、 全ての遺産を配偶者が相続すると全体の相続税をゼロにすることも可能です。 ただし、次の2次相続(配偶者が亡くなったとき)での課税が大きくなる場合もありますので、 この配偶者控除とその後の生前贈与などを組み合わせることなどを検討する必要があります。

相続税の税務調査

イラスト:情報収集

法人税や所得税と同じように、相続税についても、もちろん税務署の調査対象となります。 法人(会社)や個人事業の税務調査も今までに多く経験してきました。
しかし、税務署の資産課税部門が担当する相続税の税務調査は、群を抜いて優秀・別格です。 その調査能力・情報収集能力には、毎回、舌を巻き、頭が下がります。
税務署は事前に申告内容について、質問調査権により、 銀行や証券会社などの金融機関に書面などで照会し申告漏れがないか入念に調査します。 国税庁の発表によると、その調査を受けた申告のうち、約85%で申告漏れがあったとのことです。

税務署の情報収集力は高く、事前に重要なポイントは必ず確認・把握されていると考えて間違いありません。 つまり、税務調査の前に、すでに勝負はついているケースが多いのです。

ここでは、税務署の調査について、一部をご紹介しますが、すべてを記載できる訳ではありません。
当事務所は、もちろん税務調査についても、誠実・丁寧に対応します。 税務調査が行われる場合の事前準備、当日の対応・立会、税務調査実施後の対応方法、 修正申告などについても、リーズナブルに対応いたします。どうぞお気軽にご相談ください。

調査のポイント

調査では、現金・預金・有価証券など見つかりにくいと思われる金融資産は、 必ず重点的に調査の対象となります。 以前は、郵便貯金は把握されにくいなどと一部には言われていましたが、実際には発見され易く、 罰金まで課されますから、相続財産から除外することはできません。 最近では、海外の金融資産についても重点調査対象として申告漏れを指摘されるケースが多くなっています。

イラスト:調査対象

税務署のヒアリング対象となる項目

本人の職歴・収入・資金など

職歴、収入、支出の状況(財産との割合はどうか)
住所の移転履歴と取引金融機関
退職金、不動産の売却収入、株式の譲渡収入はどうか、公職などについていたか。
貸金庫、自宅金庫、資金の管理者、管理方法など

相続人の職歴

相続人の実家の状況
相続人の家族の職歴

本人の趣味・資金の使い方

本人の生活ぶり、派手か地味か
ゴルフ会員権など趣味に必要な財産の有無

亡くなった時の状況

死因、入院の状況、医療費の支払
死亡時前後の現金と支出状況 (特に預金の引き出しの有無)

取引金融機関(銀行、証券会社)への調査

亡くなる前の約3~5年の期間にわたって引き出した100万円以上の金額については、 その使途は調査対象となる可能性があります。 これは、隠し預金や本人以外の名義の預金(他人名義預金)となっていないか、 申告されていない他の資産の購入に充てていないかなどを確認するためです。 また、生前に不動産の売却などをしている場合には、亡くなる10年から20年前までも調査の対象となることがあります。

名義預金

預金は、本人名義は当然として、本人名義だけでなく妻名義の預金や子供名義・孫名義の預金も調査の対象になります。 株や投資信託などの有価証券についても同じです。
これは、名義は違っていても、その名義人の収入状況との整合性がなければ、 その財産は亡くなった方が出していたと考えられるので注意が必要です。形式的な名義人のものは認められません。 これを、他人名義預金と言います。名義を借りただけの預金を作っても認められませんから、生前に贈与という形で、 財産を引渡した証拠と贈与税の申告を適正にしておく事と通帳と印鑑は、名義人が実質的に管理していることが必要です。