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相続対策の奮闘ブログ

相続対策の奮闘ブログ 2012

国税庁から「平成23年分の申告の状況」が公表されました。

毎年、この時期に「相続税の申告事績」が公表されます。

平成23年中(平成23年1月1日~平成23年12月31日)に亡くなった人から、 相続や遺贈などにより財産を取得した人に係る申告事績の概要です。

1 被相続人数
被相続人数(死亡者数)は約125万人(前年約120万人)、 このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約5万1千人(前年約5万人)で、 課税割合は4.1%(前年4.2%)となっており、前年より0.1ポイント低下しました。
「被相続人数(死亡者数)」は、厚生労働省統計情報部「人口動態統計」による。

2 課税価格
課税価格は10兆7,299億円(前年10兆4,580億円)で、 被相続人1人当たりでは2億872万円(前年2億962万円)となっています。
「課税価格」は、相続財産価額から、被相続人の債務・葬式費用を控除し、 相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への生前贈与財産価額及び相続時精算課税適用財産価額を加えたものです。

3 税額
税額は1兆2,520億円(前年1兆1,754億円)で、 被相続人1人当たりでは2,435万円(前年2,356万円)となっています。

4 相続財産の金額の構成比
相続財産の金額の構成比は、土地46.0%(前年48.3%)、 現金・預貯金等24.2%(前年23.3%)、有価証券13.0%(前年12.1%)の順となっています。

大きな特徴と傾向としては、やはり死亡者数の増加でしょう。 高齢化社会を端的にあらわしています。それによもない、当然に相続税額の合計も増えています。 今後、ますます増加することは間違いないと思います。 さらに相続税の基礎控除縮小と税率アップにより、納税者の拡大と納税額のアップと見込まれます。

国税庁の公表HPはこちらです。

2012-12-19 Nicot

日経新聞の相続記事シリーズ⑫「相手の気持ち 聞く覚悟を」

日経新聞の毎週水曜日・朝刊の「Money&Investment」欄には、 相続に関する記事がよく掲載されています。 また、その内容もさすがは日本経済新聞!最近の相続事情を反映したポイントを分かりやすく説明しています。 その中から気になったものをシリーズでご紹介します。

今回は、いつもの「Money&Investment」欄ではなく、 平成24年11月27日の日経夕刊「らいふプラス」欄より、相続の記事をお届けします。

遺言書がない場合の分割協議を円滑に進めるには、どうすれば良いのでしょうか。 というのも、遺産相続のトラブルを防ぐには、まず遺言書に従うことですが、 実際には「大した額ではない」と用意せずに亡くなるパターンが大半だからです。

記事の図では、「遺産相続、トラブル回避のポイント」として、7つを挙げています。

第一に、故人(被相続人)の戸籍をさかのぼって確認し、知られざる相続権利人がいないかを確かめることです。

第二に、相続人の間で遺産の中身など正確な情報を共有することです。

第三に、自分の希望や考えを率直に話し合い、同時に自分の考えを押し付けず相手の意見を聞くことです。 先に相手に話させる方が素直な気持ちを引き出しやすいものです。 「言い分が正しいかどうかではなく、相手の気持ちをまず受け止めて」とあります。 理屈と感情を一緒にせずに、聞いてあげる覚悟が必要であると説かれています。

第四に、何を優先させて相続するかを協議することです。

第五に、兄弟姉妹の中で孤立する人が出ないように配慮することです。

第六に、不動産の名義は共有にしないことです。単独で処分できなくなり、 分割問題を次の代に先送りする結果となります。

第七に、迷ったら、専門家の無料相談を積極的に利用することです。

加えて、「相続の協議では、 自分の取り分についての思い込みはサラにして臨む方がいい」との助言もあります。

以上の中でも、第三点目こそが最も重要であると記事では捉えられているのでしょう。 というのも、第三点目が当記事の題名となっており、記事の内容においても、多くの分量を占めているからです。

協議において、相続が争族となる原因については、 「やはり行き着く先はお金の問題」です。 この点を考慮した上で、第三点目の助言を実行することが最善であると、私は思います。

2012-12-14 Nicot

日経新聞の相続記事シリーズ⑪「相続、裁判は最終手段に」

日経新聞の毎週水曜日・朝刊の「Money&Investment」欄には、 相続に関する記事がよく掲載されています。 また、その内容もさすがは日本経済新聞!最近の相続事情を反映したポイントを分かりやすく説明しています。 その中から気になったものをシリーズでご紹介します。

今回の相続記事(平成24年11月21日分)は、調停でも話がまとまらなかった場合の裁判について、説明しています。

遺産の分け方について相続人の合意が得られず、調停が不調に終わると、家庭裁判所での遺産分割審判に移行します。 審判に対して不服がある場合は、相続人が高等裁判所に不服申立をします。

相続にまつわる裁判でよくみられるものとして、6つが挙げられています。

(1)遺留分減殺請求
(2)遺言無効確認請求
(3)相続財産確認請求
(4)相続回復請求
(5)遺産分割協議不存在確認請求
(6)遺産分割協議無効確認請求

記事で重点的に取り上げられているのは、一般的に多いとされる(1)と(3)です。

(1)について、遺留分とは最低限の相続財産を得られる割合のことで、 被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に認められま す。この権利を侵害する相続人に対して、戻すように請求するためのものが(1)の遺留分減殺請求です。

(3)について、相続財産全体をきちんと把握するためのものが、相続財産確認請求です。 例えば、長男名義の預金であるものの実際は亡くなった父親のお金であったときや、 父親と同居していた人が通帳などを隠してしまったときに、訴訟となります。

残りの4つについても簡単に触れます。

(2)について、遺言が無効かどうかを確認するためのものが、遺言無効確認請求です。

(4)について、相続人の地位回復を要求し、 真の相続人が偽の相続人から財産を取り戻すためのものが、相続回復請求です。

(5)について、遺産分割協議がされていないのに、 協議書が偽造されたときのためのものが、遺産分割協議不存在確認請求です。

(6)について、一部の相続人を除外して遺産分割協議をされたときのためのものが、 遺産分割協議無効確認請求です。

ただ、実際に訴訟になるような事案は、争点が複数あることが多いとのことです。

裁判のメリットとして、以下の3つが挙げられています。

・裁判官の判断に委ねられる
・必ず結果が出る
・結果の効力は絶対

逆に、デメリットとして、以下の4つが挙げられています。

・弁護士費用などがかさむ
・時間がかかる
・裁判の専門知識などが必要
・心情的なしこりが残る

総合的に考えて、弁護士など第三者の手を借りる時点で家族の絆は崩れかけている、とのことです。 財産を多く残すことや相続税対策よりも、遺族が話し合える良好な関係を築くことが、 残すものに取って最大の遺産である、と記事は締めくくります。

2012-12-13 Nicot

日経新聞の相続記事シリーズ⑩「遺産調停 絆にヒビ」

日経新聞の毎週水曜日・朝刊の「Money&Investment」欄には、 相続に関する記事がよく掲載されています。 また、その内容もさすがは日本経済新聞!最近の相続事情を反映したポイントを分かりやすく説明しています。 その中から気になったものをシリーズでご紹介します。

今回は平成24年11月7日分を取り上げます。家庭裁判所での遺産調停についてです。

「最後はうんざり。早く終わらせたいという気持ちだけだった」

当記事では、2ヶ月に1度、合計5回の協議を経験した人の例を挙げています。 足の悪い母親の家庭裁判所通いも考慮し、早く収束させるために言い分をのんだが、 「(相手との)付き合いはなくなった」と話しているとのことです。

では、遺産分割協議とは、どのようなものなのでしょうか?記事から3つの特徴を取り上げます。

第一に、手続きの面では簡単ということです。 調停には亡くなった人と相続人全員の戸籍謄本、不動産登記事項証明書などが必要ですが、 費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手だけであり、相続人なら誰でも申し立てができる、とのことです。

第二に、特別受益と寄与分について争点になりやすいということです。

特別受益について解説します。生前に受けた資金援助の扱いが特別受益に当たれば相続分の前渡しと見なされ、 その分は差し引かれます。 実際に、上述の例でも、「大学進学費用は特別受益(生前にもらった財産)」と、相手方より主張されています。

寄与分について解説します。被相続人の生前に財産の増加などに貢献した場合に加算される分をいいます。 ただし、「労務、療育看護などが亡くなった人の財産の維持・増加に結びつくことが条件。 通常期待される程度の貢献では認められない」とも注釈されています。 「親の面倒をみていた」ぐらいでは認められないことがほとんど、とのことです。

第三に、調停の提案や調査には強制力がないことです。 合意できそうな分割方法を双方に提案したとしても、強制力はないため、 相続人の一人でも納得しなければまとまりません。 また、相続人の一人が親の生前に財産の一部を隠した疑いがある場合、 他の相続人が調停で疑惑を訴えたとしても、金融機関への調査には強制力がなく、 隠された財産を暴くのは難しい、とあります。

さて、調停の3つの特徴についてまとめました。このような調停の申立件数は年々増えています。

原因を3つ取り上げます。1つ目は、相続の発生件数自体が増えていることです。 2つ目は、民法の下で相続人が平等な分割を主張するようになった背景があります。 ただ、これらは時代の流れであり、変えることができません。

改善可能な、3つ目の原因は、「調停までもつれる原因は亡くなる人の準備不足」とのことです。

調停を避けるには、生前にしっかりとした遺言を用意し、 財産を分けやすい形にしておくべきだろう、と記事は締めくくられています。

2012-12-12 Nicot

日経新聞の相続記事シリーズ⑨「手続き 期限の把握を」

日経新聞の毎週水曜日・朝刊の「Money&Investment」欄には、相続に関する記事がよく掲載されています。 また、その内容もさすがは日本経済新聞!最近の相続事情を反映したポイントを分かりやすく説明しています。 その中から気になったものをシリーズでご紹介します。

今回は平成24年3月14日分の「手続き 期限の把握を」を紹介します。 相続開始(相続人死亡時)から納税までの一連の流れを、ポイントを抑えてまとめています。

(1)7日以内
(2)14日以内
(3)3ヶ月以内
(4)4ヶ月以内
(5)10ヶ月以内

(1)について、7日以内に死亡届を出す必要があります。 提出先は、死亡者の死亡地・本籍地または届出人の所在地の市区町村役場とされています。

(2)について、14日以内に、扶養されていた遺族の健康保険加入手続きを、 市区町村の国民健康保険の担当窓口で行う必要があります。

また、この時期までに遺言書の有無を確認してください。

(3)について、3ヶ月以内に、まるごと相続する単純承認か、 資産の範囲で負債も引き継ぐ限定承認か、相続放棄かを、判断する必要があります。 資産より負債が多いのに単純承認すると、返済に大変な苦労をしてしまいます。

なお、資産や負債の調査が終わらず3ヶ月以内に決められない場合、 「3ヶ月の期間中に家庭裁判所に申し出れば、期間を延ばしてもらえるケースもあります」

加えて、この時期までに、遺産の調査や財産目録の作成や、 社会保険・年金関係・生命保険の手続きをする方が、望ましいです。

(4)について、4ヶ月以内に、亡くなった人の税務申告をする準確定申告 (その年の1月から亡くなった日までの所得税)を所轄の税務署に提出する必要があります。

(5)について、10ヶ月以内に相続税の申告・納税を所轄の税務署に提出する必要があります。

ここで(5)に関連して、相続税の特例について触れます。 まず、特例には、配偶者は1億6000万円まで非課税とするものや、 自宅など小規模宅地の評価を大きく軽減するものがあります。

特例について注意点が二つあります。 第一に、それを使うには、10ヶ月以内に分割協議がまとまり、遺産の名義変更が整っている必要があります。 第二に、課税遺産が控除の範囲内となって相続税がかからなくなるケースでも「申告そのものは必要」です。

以上、相続の流れについて、5つのポイントを抑えました。 ここで、相続を通じて重要なことを2つ、当記事を通じて説明します。

第一に、相続人の全ての戸籍が必要になります。 例えば、過去に離婚して子供がいた場合、現在の戸籍だけでは分からないことがあるためです。

全ての戸籍がなく相続人が確定しない限り、銀行預金も引き出せませんし、 遺産分割協議書も作れず、資産の名義書換もできません。

転居を重ねた結果、必要な戸籍が8ヶ所にも及んだ例も挙げられています。早めの準備が求められます。

第二に、今回に説明したような複雑な手続きの負担を重く感じる時には、 プロに頼む選択肢も挙げられています。

ある信託銀行の場合、最低手数料は105万からであり、資産額に応じて手数料が決まります。

弁護士、司法書士、税理士などの場合には基本的に、比較的少額から頼めるとも書かれています。

シリーズを通じて、早めの対応の大切さ、おわかりいただければ幸いです。

2012-12-11 Nicot

日経新聞の相続記事シリーズ⑧「大相続時代 備えは」

日経新聞の毎週水曜日・朝刊の「Money&Investment」欄には、 相続に関する記事がよく掲載されています。 また、その内容もさすがは日本経済新聞! 最近の相続事情を反映したポイントを分かりやすく説明しています。 その中から気になったものをシリーズでご紹介します。

年間50兆円規模の遺産が受け継がれていく「大相続時代」。 ちょっと前ですが、平成24年2月15日分の日経記事に紹介されています。 「親に生前にしてもらいたいこと」を、記事を元にまとめます。

1.財産の一覧の作成
2.マイナスの財産の一覧の作成
3.人間関係などの一覧や要望の作成
4.節税策や納税・当面の生活資金づくり、法的関係の整理
5.遺言の作成

1について、金融資産の一覧表が挙げられます。 預貯金や株式のある金融機関や、その支店名・生命保険の内容と保険会社を書きます。

これは特に、インターネットの銀行や証券会社を使っている場合、 書類が残らず見つからないままになるケースがあるので、注意が必要です。

2について、借入金や、債務保証の内容が挙げられます。 というのも、遺産を上回る多額の負債があることを知らないまま単純承認し、 遺産の一部を使ってしまったりすると大変なことになります。

なお、単純承認とは、遺産や負債をまるごと受け継ぐことを言います。 相続後、原則3ヶ月以内なら、相続放棄を選択することもできます。 3ヶ月はあっという間に過ぎるので、手続きは急ぐ必要があります。

3について、死亡を知らせてほしい知人の一覧表と連絡先、望む葬儀のあり方、 自分の過去の軌跡や家族に伝えたい思い、などが挙げられます。

4について、財産評価による相続税額の試算や、生前贈与などによる課税対策、 納税資金づくりに向けた保険の活用などが挙げられます。

5について、原則は公正証書で書きます。 というのも、自筆証書遺言は内容が法的な要件を満たさず、後でトラブルになりがちなためです。

以上の5項目を、記事にあるデータを用いて締めくくります。

相続を巡る紛争は増えています。相続税が発生するのは年間5万人弱で、死亡者の4%強です。 しかし「それ以外でも遺産分けなどに関して争いは多い」と言われています。

実際に、家庭裁判所での相続関連の相談(2010年度)は18万件弱と、10年前の2倍に上がっています。 これは、年間死亡者の15%前後にも達します。裁判所外の水面下では、その数倍の争いが起きている可能性が高いです。

相続は家計に大きな贈り物となる可能性もありますが、膨大な手続きが必要なうえ、 遺族の争いに発展することも多いです。生前の準備が大きなカギとなります。

2012-12-10 Nicot

国税庁と大阪国税局から「平成23年度の相続税の調査状況」が公表されました。

毎年、この時期に「相続税の調査状況」が公表されます。

「国税庁からの発表サイト」はこちら

「大阪国税局からの発表サイト」はこちら

調査対象は、「平成21年中及び平成22年中に発生した相続を中心に、 国税局及び税務署で収集した資料情報を基に、申告額が過少であると想定されるものや、 申告義務があるにも関わらず無申告となっていることが想定されるものなど」に対してであり、 平成23事務年度(平成23年7月から平成24年6月までの間)に実施した実地調査の状況が発表されました。
つまり、亡くなってから10か月以内に相続税の申告をしますが、 税務調査はその1年~2年後に行われるケースが多いということです。

申告漏れが指摘されるケースは、毎年高く、約80%(関西は83%)です。 申告漏れの相続財産は、現金・預金が圧倒的に多く約40%、次に有価証券で約18%。 現金預金と有価証券を合わせて、申告漏れ財産の60%を占めています。
つまり、本人名義の預金だけでなく、他人名義預金も含めて申告漏れを指摘されるケースが多い、 ということで、亡くなってから調査実施までの期間 (2年から3年)に税務当局は完全に情報を把握していることを示しています。

また、特徴的な傾向として2つ分かります。 1つは、海外資産に対する調査実績が増加しており、申告漏れが多く把握されていること、 もう一つは、相続税の無申告のケースで申告漏れが多く把握されていることです。 2つとも、ここ数年で大幅に調査実績と申告漏れ財産が増加しています。
これは、国税庁・国税局からの明確なメッセージで、 今後とも国外財産・国外取引と無申告納税者は重要な調査対象となることは間違いなく、 安易な対応はできないことを物語っています。

今回の公表サイトに記載されている文言を参考までに。

① 「納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正な課税を実現するため、 相続税調査の実施に当たっては、租税条約等に基づく情報交換制度を効果的に活用するなど、 海外資産の把握に努めています。資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案など、 海外資産関連事案については、本事務年度においても積極的に調査を実施します。」

② 「無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・ 納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであり、 資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めています。 無申告事案については、本事務年度においても積極的に調査を実施します。」

③ 「国税庁では、相続税の補完税である贈与税の適正な課税を実現するため、 積極的に資料情報を収集するとともに、相続税調査等、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努めており、 無申告事案を中心に、本事務年度も積極的に贈与税の調査を実施します。」

④ 「国税庁では、あらゆる機会を通じて把握した生前の資産保有・移動状況に関する情報を蓄積・ 活用するなどして、贈与税の無申告事案の積極的な調査に努めています。」

相続税に関する国税当局の調査能力・情報収集能力は、驚くほど素晴らしく優秀です。 合法的な対応と適切な相続税の申告が一番です。

2012-11-19 Nicot

日経新聞の相続記事シリーズ⑦「贈与にならぬ資産承継」

日経新聞の毎週水曜日・朝刊の「Money&Investment」欄には、相続に関する記事がよく掲載されています。 また、その内容もさすがは日本経済新聞!最近の相続事情を反映したポイントを分かりやすく説明しています。 その中から気になったものをシリーズでご紹介します。

前回に引き続き、生前贈与に関係した話題を取り上げます。 贈与税のかからない財産の贈与について、平成24年10月17日分の記事です。

扶養義務者から生活費や教育費に充てるために贈与された財産は、 贈与税の対象になりません。扶養とは「生活の面倒を見ること」です。 扶養義務者とは、親や祖父母だけでなく、配偶者や兄弟姉妹も含まれます。 教育費とは、学費や教材費、文具費などを指します。

では、どの程度の生活費や教育費がそれに当てはまるのでしょうか。 それは「通常必要と認められるもの」と相続税法第二十一条の3にあるのみで、明確な基準はありません。

ここで、今回の記事の「『贈与でなく扶養』の五ヵ条」を通して、 具体的にどのようにすれば良いのかを学ぶ事ができます。

① 必要な金額を必要な時に渡す・もらう
② もらったお金は余らせず、使い切る
③ 学費は、できれば学校などに直接支払う
④ ぜいたく品(車含む)は買わない
⑤ 援助する側の老後資金は渡さない

③についてですが、例えば、大学進学費用を祖父母が援助する時、4年分をまとめて先渡しするのは、 扶養ではなく贈与とみなされ、贈与税の対象となってしまう可能性があります。 というのも、親の手元に貯蓄として残るためです。 そのため、このようにその都度、直接支払うという方法が考えられます。

④についてですが、贅沢品を買うお金は一般的に贈与とみなされます。 代表例が車であり、親や祖父母が子供に買い与えると、購入資金は贈与税の課税対象となります。

⑥についてですが、①〜④のことは余裕資金がたくさんある場合に考慮すべきです。 老後資金が足りなくなっては本末転倒です。 また、過去にブログで触れましたが、相続税は原則として金銭納付であり、 一般的に財産の約60%〜70%は不動産なので、納税のために不動産を売却するケースもあります。 資金については慎重な対応が望まれます。

ここで二つ、付け加えます。第一に、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、 上述のようにそれを預金したり、株式や不動産などの買入資金に充てたりなど、 当初の目的外のことに使う場合は、贈与税がかかります。

第二に、個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞などのための金品で、 社会通念上相当と認められるものにも、贈与税はかかりません。

当シリーズの第一回で「時代は相続から贈与」を取り上げました。 今回は「贈与にもならぬ資産承継」でした。相続税の節税方法も、いろいろあり、注意点も多いということです。

2012-11-07 Nicot

日経新聞の相続記事シリーズ⑥「生前贈与は『形』を残す」

日経新聞の毎週水曜日・朝刊の「Money&Investment」欄には、相続に関する記事がよく掲載されています。 また、その内容もさすがは日本経済新聞!最近の相続事情を反映したポイントを分かりやすく説明しています。 その中から気になったものをシリーズでご紹介します。

平成24年9月25日に当ブログで紹介した生前贈与。 今回は贈与の方法について、日経新聞10月10日分の記事から3つに分けて紹介します。

第一に、子供の名義の口座に振込を行った際、名義預金と指摘されないための方法です。 名義預金とは、形式上は子供の名義でも、実質的にはお金を出した人のものと判断される預金のことです。 贈与による相続対策をしていたにも関わらず、 相続時に名義預金と指摘され、贈与が認められず修正申告を求められるケースがあります。

記事では具体的に以下の形跡を残すことを勧めています。
・ 口座開設時に名義人が署名する
・ 銀行への届け出印を名義人本人が使っている
・ 名義人が自ら住所氏名の変更などをする
・ 通帳や印鑑、キャッシュカードなどは名義人が管理
・ 名義人が入出金
・ 名義人が通帳に使い道などの書き込みをする
・ 自署による贈与契約書を作成しておく
・ 贈与者の手書きの日記やメモに贈与の意思が読み取れる
・ 贈与税の申告と納税は名義人がしている

第二に、住宅資金としての贈与です。 住宅購入時に限り、直系尊属(両親や祖父母など)から一千万円まで非課税で贈与してもらえます。

対象者は、所得が2000万円を下回る20歳以上の方と定められています。 住宅は、床面積が50㎡以上240㎡以下のものが対象です。 これは平成24年のケースであり、25年の非課税限度額は700万円、26年は500万円となります。 このように、非課税限度額は下がりつつあるので、早めの決断が節税に役立つと言えます。

なお、この限度額は一般住宅の場合であり、省エネ住宅の場合はこれよりも高くなります。

第三に、贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)です。 配偶者から、居住用不動産かその購入のための資金の贈与を受けた時、最高二千万円までの控除が受けられます。 ただし、婚姻期間が20年以上で、同じ配偶者からは一生に一度しか受けられません。

なお、第二・第三ともに、非課税となる基礎控除額110万円も合わせることができます。

この2つの特例は、相続開始前3年間の贈与財産を相続財産に加算して相続税額を算出する規定が適用されませんので、 直前の駆け込みの節税対策としても有効です。

贈与は非常に効果のある相続税対策です。 実際に、財産を残す立場で相続対策をしている人のうち、 「贈与」を挙げた回答者が59%に達するほどです(信託協会調査、回答数3998人)。 ただ、決して「有名=手軽」というわけではありません。 名義預金など、内容を良く理解し、確実に効果が出るよう手順を踏むことが大切です。

2012-11-06 Nicot

日経新聞の相続記事シリーズ⑤「『争族』早めに専門家へ」

日経新聞の毎週水曜日・朝刊の「Money&Investment」欄には、 相続に関する記事がよく掲載されています。 また、その内容もさすがは日本経済新聞!最近の相続事情を反映したポイントを分かりやすく説明しています。 その中から気になったものをシリーズでご紹介します。

「争族」という言葉は、相続問題に関してよく使われます。 9月26日分の日経記事の「争族」問題をまとめます。

データによると相続経験者のほぼ3人に1人がトラブルに巻き込まれています。 家族や親族などの相続を経験した人が全体の57%を占める中で、これは見過ごせない数字と言えるでしょう。

そのトラブルは辛烈を極めます。「話し合いを重ねるたびに言い争いになり」とありますが、 私も現実にそのようなケースも多く見てきました。

その原因として、アンケート結果より、上位3つが挙げられます。
1.「遺産配分がとても不公平」が36%
2.「被相続人の面倒を見た人の遺産が少ない」が20%
3.「遺産相続が思ったより少ない」が10%強
そして「やはり行き着くのはお金の問題だ」と、記事は締めくくっています。

お金が直接に絡む以上、争族が起こりやすい状況には気を払わなければなりません。記事では4点に触れています。
1.特定の相続人に多くの財産を残す場合
  →他の相続人が遺産配分について不満を抱きやすい
2.相続財産の大半を不動産が占める場合
  →共有や分割が難しく、誰から住み続けるなら要注意
3.配偶者との間に子供がいない場合
  →親や兄弟に相続権があり、遺言がなければもめることも
4.家族関係が複雑(被相続人に離婚歴があるなど)なケース
  →父親が離婚・再婚したら、前妻の子、後妻の子双方に相続権

以上4つの注意点を踏まえて、話し合いがこじれてしまったときには、 家庭裁判所に調停を起こす方法も考えられます。 確かに、裁判は「判決で決着をつける」ための手段であるのに対し、 調停は「話し合いで双方が納得を得る」ためのものです。

ただ、それでも相続に詳しい専門家は、 「時間がかかるうえ、家族の絆がボロボロになるので本来は避けるべきだ」と指摘しています。

相続開始前には、被相続人となる方が専門家の指導を受けて、 上記4つの注意点などに留意した公正証書遺言を準備することをお勧めします。 相続開始後にも、相続人ができるだけ円満な話し合いを実現させるために、専門家のアドバイスが必要となります。

2012-11-05 Nicot

日経新聞の相続記事シリーズ④「『相続財産に期待』7割」

日経新聞の毎週水曜日・朝刊の「Money&Investment」欄には、 相続に関する記事がよく掲載されています。 また、その内容もさすがは日本経済新聞!最近の相続事情を反映したポイントを分かりやすく説明しています。 その中から気になったものをシリーズでご紹介します。

今回は平成24年8月8日分の記事です。 1295人へのアンケート結果は、実に興味深く貴重なものです。要点を3つに絞ります。

相続人は何を求めているのかが1点目。
それを踏まえて、なぜ相続でトラブルが起こるのかが2点目。
そのために、被相続人は何をすれば良いのかが3点目。

【1点目】相続人の68%が「相続財産に期待を寄せている」とのこと。やはり関心は非常に高いのでしょう。

その理由は興味深いものです。そのうちの49%が「老後資金が不足しているから」です。 次に生活費の不足が続きます。これは、長寿化により相続人も被相続人も高齢化し、 必要な生活費が増えているためだと考えられます。

なお、相続財産で「一番欲しい物」は以下のようになります。
1.「預貯金」が58%
2.「自宅・実家(土地・建物)」が32%
3.「株式などの金融商品」が6%

【2点目】トラブルの最良の解決法が話し合いであるのは万国共通です。 親などに相続の準備を持ちかけることについては、以下のような意見となります。
1.「抵抗はあるがはっきり聞く」が26%
2.「抵抗はない」が18%
3.「親の気分を損ねるのが心配でまったく言い出せない」が15%

1について、「抵抗はある」時点で、本当に差し迫った時にはっきり聞けるのかどうかは疑問が残ります。 3と重ねて考えれば、はっきりものを言わずに話し合う機会もなく、 トラブルの種を残してしまうことは、決して少なくないでしょう。

【3点目】親などに生前に準備してほしいことは、以下の結果が出ています(複数回答)。
1.「財産と負債の一覧表を作成」が47%
2.「遺言で遺産配分を決め、死後わかるようにする」が35%強

以上の3点を、ここでまとめます。相続で何をどれくらい受け継ぐのかは、老後の生活に影響する重要な問題です。 そのことも含めて、言いにくいことですが、親、兄弟と話し合うことが大切です。 親の方もそれに応えて生前に具体的な準備をすることです。

2012-11-04 Nicot

日経新聞の相続記事シリーズ③「不動産 分けるなら相続前」

日経新聞の毎週水曜日・朝刊の「Money&Investment」欄には、相続に関する記事がよく掲載されています。 また、その内容もさすがは日本経済新聞!最近の相続事情を反映したポイントを分かりやすく説明しています。 その中から気になったものをシリーズでご紹介します。

「私が死んでもあなたには連絡しない。もう連絡してこないで」
亡き母から預かった言葉を姉に伝えたのは、裁判所でのことでした。
ショッキングな出だしの記事は、平成24年7月18日分の相続記事です。

相続問題は多くの場合、不動産を巡る問題と言っても過言ではありません。 実際に、金銭で分けにくく、評価が高い不動産でトラブルになるケースが良くあります。 「実家や田畑など不動産なんていらないが、それに見合う金銭はもらう」と、 相続が発生したときに断言する人が多いと言われています。

家長制度がなくなり、個人が権利を主張するようになったことが、 相続をめぐる問題の大きな要因のうちの一つです。

また、時価下落や地域経済の低迷も、相続時の不動産トラブルのもととなっています。

更に、固定資産税を嫌うことや、賃貸業も借り手がつかないことも、 相続人らが不動産を押し付けあう背景となっています。

こうした不動産を巡る争いの結果、家族の絆や金銭を絡めて、冒頭の言葉となった事例もあります。

以上の記事のまとめを踏まえて、以下に補足します。 民法で認められる法定相続分を考慮し、 生前に不動産の売却も含めて相続対策をすることの大切さについてです。

相続税は原則、金銭納付です。一般的に財産の約60%〜70%は不動産なので、 納税のために不動産を売却することは少なくありません。

ただ、相続開始よりわずか10ヶ月で、納税をする必要があります。 この短期間では、家族で不動産の処理について穏やかに話をまとめることは難しいでしょうし、 不動産を業者に売却する際に足下を見られることもあるでしょう。

例外として、延納と物納という制度もあります。しかし、延納は最長20年まで支払を分割できますが、 原則年6.6%の利子税がかかります。また、物納の場合、作成に相当程度の時間を要する資料が必要なので、 現実的には生前からの準備が必要です。

これらを踏まえて、相続税の節税に大きく貢献する、小規模宅地の特例という制度があります。 対象の住まいの敷地面積240㎡までなら、相続税評価額が80%も減額されます。

ただ、平成22年4月の改正によって、小規模宅地の特例の適用条件が厳しくなりました。 少なくとも以下の3点を頭に入れて、生前から綿密に話し合い、計画を立てる必要があります。

第一に、配偶者が相続する場合、適用は可能です。
第二に、元々同居していた親族が相続し、そこに住み続ける場合です。 相続税申告期限後も居住・所有を続けるのならば、適用は可能です。 ただ、期限内に売却するのならば、それは認められません。
第三に、相続人の配偶者や同居する親族がおらず、自宅を所有しない親族が相続する場合、 期限後も所有し続けるのならば、適用は可能です。 ただ、期限内に売却するのならば、それは認められません。 なお、その親族とは、相続開始前3年以内に配偶者含む本人が居住用の持ち家がない人を指します。

以上をまとめて、生前から家族間で不動産の処理も含めた話し合いを重ね、専門家に相談することをお勧めします。

代々の土地を守ることは立派なことだと思います。 ただ、代々に受け継がれている大切なものは、土地だけではないからです。

2012-11-03 Nicot

日経新聞の相続記事シリーズ②「遺言 残った家族幸せに」

日経新聞の毎週水曜日・朝刊の「Money&Investment」欄には、 相続に関する記事がよく掲載されています。 また、その内容もさすがは日本経済新聞!最近の相続事情を反映したポイントを分かりやすく説明しています。 その中から気になったものをシリーズでご紹介します。

遺言書はどのように書けばよいのでしょうか? 平成24年6月13日分の記事の「遺言のトラブル防止5ヵ条」をピックアップしたいと思います。

 1.遺産や相続人の状況が変わったら遺言を書き直す
 2.状況が変わったらどうするか、あらかじめ書いておく
 3.全ての遺産をもれなく書く
 4.遺留分をなるべく侵害しないように分ける
 5.「付言」で、家族への感謝や思いをたっぷり書く

1~3は、もちろんいずれの資産についても重要ですが、 特に金融資産については注意が必要です。 時間とともに時価評価が大きく変動したり、売買取引で残高が変わったり、 別の商品を買っていたりすることもあるからです。 これらの変化に対応できるように記載しましょう。

4で触れた遺留分とは、遺言に優先する相続人の権利です。 遺言で何も残してもらえなくても、法定相続分の半分を請求できます。

5の「付言」ですが、法的効果はありませんが、遺族の不満を抑えたり、悲しみを和らげたりできるでしょう。

以上が、遺言書の内容についての記事のまとめです。 ただ、遺言が一定の方式に従われていなければ、内容に効果は生じません。 ここで、一般的な2種類の遺言の方式について、補足します。

第一に、自筆証書遺言(民法968条)です。遺言者が自分で記載・保管し、遺言の全文・日付を自署します。
紛失・改ざんのリスクがありますが、簡便で費用もかかりません。 相続開始後に、すぐに家庭裁判所で検認を受ける必要があり、封印されていれば相続人が立ち会います。

第二に、公正証書遺言(民法969条)です。遺言者の口述に基づいて、公証人に作成してもらいます。
2人の立会人が必要で、時間と費用がかかり手続きも煩わしいですが、紛失・改ざんもなく証拠力が高いです。
検認は不要です。

確実に相続人に残すことができ、安心できるものは、第二の公正証書遺言です。 コストと手続きはかかりますが、おすすめしております。

「遺言書は家族を含めて人生を顧みるきっかけになるはずだ」と、 この記事は締めくくられています。 そのためにも、適切な書き方を知っておくことは本当に大切なことです。

2012-11-02 Nicot

広大地の評価方法について(解説シリーズⅠ)

平成16年に大きく改正された「広大地の評価方法」について、節税効果は大きいのですが、 実務上の適用が難しいテーマなので、 解説シリーズ第一弾としてBLOGに掲載します。
当事務所の相続税の申告書作成においても、 実際に広大地を適用して土地の評価を行い、 大きな節税となったケースはありました。 結果的に問題となった事例はありませんが、認められるかどうかは、 かなり微妙なラインなので慎重に適用するかどうかを見極める必要があります。

以下の11項目で解説しますのでご参考になれば幸いです。
1.広大地評価とは
2.広大地評価の減額効果
3.広大地評価の背景
4.広大地評価のフローチャート
5.フローA〜大規模工場用地
6.フローB〜マンション適地
7.フローC〜標準的な宅地の面積
8.フローC〜著しく面積が広大か
9.フローD〜公共公益的施設用地の負担
10.広大地に該当しない条件の例
11.終わりに

【項目1.広大地評価とは】
平成16年に広大地の評価改が行われました。
相続の際、土地の評価額について劇的な減額が期待できる規定があります。 「広大地の減額規定」です。噛み砕くと「広くて大きな土地は減額できる規定」となります。 わかりやすくもあり、実は曖昧で捕らえどころのない規定です。

その減額の計算方法が大きく簡略化されたのが、まさに平成16年の法令解釈通達によります。 ただ、計算方法は簡略化されましたが、広大地に該当するかどうかは、 平成16年以降であっても、専門家ですら頭を抱えることがあります。

今回は、この規定についての基本部分をまとめようと思います。
広大地とは、「その地域における標準的な宅地に比して著しく地積が広大で、 開発行為を行うとした場合に公共公益施設用地の負担が必要と認められる宅地」と定義されます (財産評価基本通達24-4)。 では、これより皆様にできるだけわかりやすく説明を試みます。

【項目2.広大地評価の減額効果】
広大地の減額規定が適用されることで、評価額の大幅な減額が実現できます。以下に算式を示します。
広大地の評価額 = 路線価 × 地積 × 広大地補正率
広大地補正率 = 0.6 −(0.05 × 広大地の面積 ÷ 1,000m²)

例を挙げます。路線価200千円、地積1500㎡(約454坪)とします。

イ.広大地として評価しない場合
  評価額 = 200,000 × 1,500 =300,000千円
  (奥行価格補正などは考慮しません)

ロ.広大地として評価する場合
  広大地補正率 = 0.6 – 0.05 × 1,500 ÷ 1,000㎡ = 0.525
  広大地の評価額 = 200,000 × 1,500 × 0.525 = 157,500千円

ハ.差額
  300,000千円 – 157,500千円 = 142,500千円

ここまで評価額が下がることになります。実に52.5%に減額されます。 なお、制度上は最大で35%まで下がります。 このように、広大地の減額規定に該当されれば、本当に大きな節税をすることができます。

【項目3.広大地評価の背景】
ここで、なぜ広大地の減額という規定があるのでしょうか。一言で答えると、 住宅地は面積が広いほどその単価が下がるからです。
面積が広い土地のことを「面大地」といいます。面大地の買い手は、一般に宅地開発業者です。 そのため、面大地の市場価格は、宅地開発業者の仕入値と直結しています。
ここで、住宅地として販売する際の費用について考えてみてください。 開発する土地の面積が広くなるほど、住環境と災害対策の観点から、行政の指導が厳しくなります。 それに従い、道路・水道・緑地などを適切に備える必要が生じます。 その分だけ大きく費用がかかることになります。

以上より、宅地開発業者の利益も考慮すれば、面大地の仕入れ値は安くなければならず、 その単価は下がらざるを得ないということになります。
相続税評価における広大地の減額規定は、このような背景を反映するためのものなのです。

【項目4.広大地評価のフローチャート】
広大地に該当するかどうかは、以下のフローチャートで判断できます(評基通24-4)

評価対象地
   ↓
A.大規模工場用地に該当するか
   ↓No
B.マンション適地か、又は、既にマンション等の敷地用地として開発を了しているか
   ↓No
C.その地域における標準的な宅地の面積に比して著しく面積が広大か
   ↓Yes
D.開発行為を行うとした場合、公共公益的施設用地の負担が必要と認められるか
   ↓Yes
広大地に該当

1つでも条件が欠けてしまうと、該当から外れてしまいます。 この可否のみで極めて大きな減額が左右されてしまいますので、 調査及び申請の際には専門家の協力が必須となります。

さて、馴染みのない言葉が続きました。 言葉の意味や、文章の意図するところを、これから数回に分けて説明をしていきます。

「分からないから専門家に相談するのに、ここまで理解する必要があるのか?」という声もあることでしょう。 もちろん、基本的に相続税の相談の際には、このような専門的な部分は私どもに任せてくだされば、 必要かつ十分です。ただ、大枠の部分だけでも皆様にご理解いただければ、 相談や手続きをスムースに運ぶことができると、私は感じております。 今しばらくお付き合い願えれば幸いです。

【項目5.フローA〜大規模工場用地】
大規模工場用地とマンション適地は、広大地の減額規定から除外されます。マンション適地については後に触れます。

なぜ、これらは除外されてしまうのでしょうか。それは、これらの土地は面積が広いほど、 その単価が上がる傾向にあるからです。 想像に難くないでしょうが、これらには広い面積が求められるからです。

「3.広大地評価の背景」で述べた通り、広大地の減額規定の前提は、 一般的に住宅地は面積が広いほどその単価が下がるということです。 上記2種類の土地では、その前提が当てはまらないというわけです。

大規模工場用地とは、一団の工場用地の地積が5万㎡以上のものをいいます(評基通22-2)。 「一団の工場用地」とは、工場・研究開発施設等の敷地の用に供されている宅地、及び、 これらの宅地に隣接する駐車場・福利厚生施設等の用に供されている一団の土地のことです(評基通22-2)。

【項目6.フローB〜マンション適地】
マンション適地とは、分譲マンション業者が買いに入るような土地のことです。 「5.大規模工場用地」で述べた通り、広大地には該当しません。

では、どのようにしてマンション適地であるかを判断するのでしょうか。 評基通24-4で明確に挙げられているのは、容積率です。

容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合です。 容積率300%以上の地域に所在する土地は「マンション適地」に該当します(評基通24-4)。

以下、私見ですが、他に3つの判断基準を例として紹介しておきます。

(1)最寄り駅からの距離です。近いほどマンション適地とされる傾向があります。
(2)土地の規模です。マンションを建てるには広い土地が欠かせないためです。
(3)周囲の土地の利用状況です。分譲マンションが多ければマンション適地とみなされやすいです。

ここで、国税庁の資産評価企画官情報第1号を紹介します。 というのも、ここにマンション適地の判断基準の前提となる考え方が示されているからです。

「周囲の状況や専門家(不動産鑑定士等)の意見などから判断して、 明らかにマンション用地に適していると認められる土地を除き、 戸建住宅用地として広大地の評価を適用することとして差し支えない」

いまいち結論が釈然としない文章です。 そのため、このような微妙な判断は、上記の3つの私見も状況により考慮した上で、 専門家に任せることが最善かつ無難な方法であると、私は思います。

【項目7.フローC〜標準的な宅地の面積】
「その地域における標準的な宅地の面積に比して著しく面積が広大か」とフローチャートにあります。 まずは、「標準的な宅地の面積」の意味について説明します。

一般的に標準的な宅地とは、その土地の属する地域において、 標準的な使われ方をしている土地のことです。 間口○○m、奥行○○m、面積○○㎡くらいと判断します。 実際にそのような土地があるかは差し置いて、概念的なものであると言えます。

では、いかにして、その数字を調べるのでしょうか。それは、国税庁の通達などが基準となります。

ただ、「大阪市中央区の大阪城公園の標準的な宅地の面積は313㎡」 などと具体的に定められているわけではありません。 「不動産市場や地域の実情に応じて個々で判断して下さい」と書いてあるのみです。

では、具体的にどのように判断をすれば良いのでしょうか。 国土交通省の地価公示や都道府県の地価調査の、基準地の面積を参考とすべきです(国税庁の回答要旨)。 聞き慣れない言葉が続いたかもしれませんが、実際にご覧になった方が、 イメージしやすいかもしれません。 国土交通省のサイト が、非常に分かりやすく工夫されています。

【項目8.フローC〜著しく面積が広大か】
次に、「その地域における標準的な宅地の面積に比して著しく面積が広大か」の中の、 「著しく面積が広大か」の意味について解説していきます。

対象となる土地が開発許可面積よりも大きいかどうかで判断します(国税庁の回答要旨)。 開発許可面積とは、各自治体によって定められた、開発許可を得るために必要な面積のことです。

以下に一例を示します。

市街化区域の場合
・ 三大都市圏・・・・・500㎡
・ それ以外の地域・・・1,000㎡
(市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域、 及び、およそ十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域)

なお、三大都市圏とは、東京都・愛知県・大阪府の属する各大都市圏の範囲のことです。 近畿圏なら、一般的には、大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県などを指すことが多いようです。

ただし、上記未満の面積であっても、ミニ開発分譲地に該当する場合には、広大地として判定されることもあります。

ミニ開発分譲地とは、開発許可を受けられるほど面積が満たない場合に、 複数の戸建を建てて分譲する土地のことです。 どの戸建にも面する道路を設置する必要があります(建築基準法第43条)。 小規模な面積ということもあり、主に都心部に見られます。

500㎡未満だからといって、一概に広大地判定を諦めるのは得策ではありません。 上記の可能性も考え、複数の分野の専門家に相談することが、節税への最善の道であり、その第一歩と言えます。

【項目9.フローD〜公共公益的施設用地の負担】
フローチャートの最後に、「開発行為を行うとした場合、 公共公益的施設用地の負担が必要と認められるか」という条件があります。 ここでは公共公益的施設用地について書き記します。

まず、公共公益的施設用地とは、「道路・公園等の公共施設の用に供される土地、及び、 教育施設・医療施設等の公益的施設の用に供される土地」を指します(国税庁の回答要旨)。

では、上記の要件は少々複雑なので、道路を例として絞った上で、3段階に分けて説明します。

第一に、土地を開発する際、その区画割は経済的に最も合理的でなければなりません。 例えば、明らかに宅地に適した土地であるにも関わらず、マンション向けの区画割をしてしまえば、 宅地開発業者もその土地を購入するのに二の足を踏むでしょう。 それは経済的に合理的とは言えません。

第二に、少し触れましたが、建物の敷地は道路に面していなければなりません(建築基準法第43条)。 例えば、いくつかの住宅を建てる場合、その土地の奥の区画の住宅が、既存の道路に面さないという問題も出てきます。 この場合、その土地に新たな道路を開設し、各住宅に行き渡らせる必要があります。

第三に、ここで話がまとまります。フローチャートのこの条件の意味は、 「経済的に最も合理的に戸建住宅の分譲を行った場合に、 その開発区域内に道路の開設が必要なもの」です(国税庁の回答要旨)。 逆に、既存の道路が全ての戸建住宅に面していれば、 その土地に道路の開設は必要なくなるので、この要件には当てはまりません。

なお、公共公益的施設用地の負担が、ごみ集積所などの小規模な施設の開設のみの場合も、 当てはまりません。

以上を踏まえた上で、不動産の専門家に、区画割りを描いた開発想定図を作成してもらい、 税務署に説明をするわけです。平成16年の改正により、 それは義務ではなくなりましたが、現在でもこの見地から必須と言えます。

【項目10.広大地に該当しない条件の例】
以上、評基通24-4のフローチャートをベースに解説を加えました。

ここで、当通達には「広大地に該当しない条件の例」として4つが挙げられています。

(1)既に開発を了しているマンション・ビル等の敷地用地
(2)現に宅地として有効利用されている建築物の敷地(大規模店舗・ファミレス等)
(3)原則として容積率300%以上の地域に所在する土地(いわゆるマンション適地)
(4)公共公益的施設用地の負担がほとんど生じないと認められる宅地

(3)と(4)については解説済みなので、(1)と(2)について触れます。

(1)について、既にマンション等への開発行為が完了し、 近い将来に戸建に立て替える事情が認められない場合などが挙げられます。

(2)の大規模店舗やファミレスですが、これは一般的に、 郊外に立地しているものを示しています。住宅地にこれらが存在していても、 それは「有効利用されている建築物の敷地」とはみなされず、「広大地に該当しない条件」には当てはまりません。

【項目11.終わりに】
以上、広大地の減額規定について、基礎的な部分を書き綴りました。

「広くて大きな土地は減額できる規定」と言えば、わかりやすく聞こえます。 ただ、その曖昧さ故に、様々な分野の専門力を要します。 税務だけでなく、不動産などの専門家の協力も必要なのは、このためです。

信頼できる専門家に相談すべきか、せざるべきか、それが問題です。

私が代表を務める「相続サポート・パートナーズ」では、 税務のみならず不動産などの専門家も含めたチームを組んでおります。 守備範囲も万全を期しております。 ぜひご相談を頂ければ、専門家の一人として冥利に尽きるものです。

2012-11-01 Nicot

日経新聞の相続記事シリーズ①「時代は相続から贈与へ」

日経新聞の毎週水曜日・朝刊の「Money&Investment」欄には、 相続に関する記事がよく掲載されています。 また、その内容もさすがは日本経済新聞! 最近の相続事情を反映したポイントを分かりやすく説明しています。 その中から気になったものをシリーズでご紹介します。

初秋の風を感じる中、2012年9月19日(水)付け日経新聞のMoney&Investment欄に、 「時代は相続から贈与へ」という記事が載りました。
2015年(平成27年)からの相続税の増税を前にできる対策としては、生前贈与が有効ということです。

年間50兆円もの遺産が受け継がれていく【大相続時代】という冒頭の表現は、 相続実務でも日々実感しています。注目だけでなくトラブルも呼び起こす時代の幕開けです。

皆様にもぜひ知っていただきたいと思い、この記事から2つの制度をピックアップし、 簡単なまとめと私見を綴ることにします。

第一に、暦年課税の非課税枠についてです。贈与をすると贈与税がかかるのは周知です。 記事では、贈与される一人あたり年110万円までが非課税という制度を利用して、 その範囲内で毎年贈与を行い、将来の相続財産と相続税を減らすことを勧めています。

ここで私見です。年間110万円でも十分でない場合は、310万円を次の数字として挙げるのが効果的です。 というのも、非課税枠の110万円以降、最初の200万円までに贈与税率が10%かかることになるので、 税額は20万円となり実質税率を6.5%ほどに抑えられるためです。
 (310−110)×10%/310≒6.5% 

第二に、相続時精算課税制度についてです。贈与時に累計で2500万円までは非課税となります。 非課税の贈与分は、相続時に合算して相続税として課税されます。 この仕組み自体、相続税の節税となるわけではありません。

しかし記事では、この制度のメリットとして2つが挙げられています。 1つ目は、相続時に合算する際の評価額が、贈与時価格で固定されるので、 価格の上昇が期待できる資産の場合は有利であることです。 2つ目は、収益物件を贈与した際、毎年の家賃収入が相続財産とはならず贈与された人に移り、 やはり将来の相続財産と相続税を減らせるということです。

ただ、私見ですが、価格の上昇を見込める株式等の資産を探し当てることが極めて難しいのは、 シャープの現状やサムスンのiPhone裁判を一読すれば、容易に想像できます。

また、収益物件については、家賃収入だけでなく付随する費用にも見通しが必要です。

一度この制度を利用すれば、前述の暦年課税制度に戻すことはできません。 目先の非課税にとらわれず、慎重な対応が求められます。

「時代は相続から贈与」へと風向きが変わっています。 それが、初秋の風のように心地よいものとなるよう、皆様のお手伝いをさせていただけたら幸いです。

2012-09-25 Nicot

9月19日(水)にM&Aセミナーを開催します!

有限責任事業組合プロネット・ジャパン主催のセミナーで 「M&A」をテーマに取り上げて講師を務めさせていただくことになりました。 プロネット・ジャパンは、私がパートナーとして参加している専門家集団の集まりで、 現在は奈良県を中心にセミナー活動、経営相談会などを実施しています。

日時

平成24年9月19日(水) 午後6時30分~8時30分まで

場所

奈良県産業会館 3F 研修室(JR高田市駅すぐ)

テーマ

「なぜ、中堅・中小企業のM&Aが増えているのか」
          ~事業承継としてのM&Aとその実態~

項目

1.中堅・中小企業のM&Aとは?(前回のまとめ)
     (1)中堅・中小企業のM&Aとは?
     (2)なぜ、M&Aが有効なのか?
     (3)事業承継としてM&Aが増加している背景は?
2.事例 ① 再生型M&A(民事再生での事業譲渡)
3.事例 ② 間に合わなかったM&A!
4.事例 ③ 家族の反対で中止となったM&A!
5.まとめ

後継者不足などにより事業承継が経営の重要な課題となっています。 近年、事業承継対策の一つとして注目を浴びている方法がM&Aです。 安心・信頼できる企業に経営を委ねることができれば、一層の発展が可能となり、 会社ブランド・従業員の雇用も守られ、取引先・金融機関も安心です。 中堅・中小企業のM&Aの概要とその有効性、増加の背景を説明します。 また、最近の事例からM&Aの実態と注意点をご紹介します。

2012-08-22 Nicot

円満相続の法則③「元気な生前中に、の法則」

「元気な生前中に、の法則」
相続問題を円満に解決するためには、ご本人が生前に、また元気なうちに準備をしなければいけません。

なかなか、言い出しにくいテーマであり、 ご本人も「まだまだ、大丈夫」と思っていることが多いのですが、亡くなった後には、 もちろん遺言書も作成できなければ、相続人の協議に任せるしかありません。
また、最近では認知症の問題があり、ご本人がしっかりしている間に相続の準備をしなければいけません。 認知症と認められた場合には、意思能力の問題があり、成年後見人制度などの法的対応も必要ですが、 基本的に遺言書も作成できず、財産の処分もできなくなります。 つまり、ご本人が生前に、しかも元気なうちに準備を進めなければいけない、ということです。
何事も「備えあれば憂いなし」。長期的・計画的な準備が重要です。 特にご相続に関しては、後々の手続きや人間関係、円満相続や納税を考えれば、早めの対策が一番です。

2012-06-03 Nicot

円満相続の法則②「ご本人の法則」

「ご本人の法則」
財産の規模に関係なく、ご相続のトラブルが増加していますが、この問題を回避して、 円満相続のために準備できる人は、ご本人(被相続人)だけである。

やはり、ご相続のことは、周りの人々からは言いにくい問題です。 「言い出しにくい。」、「やっぱり言えないなあ。」と私も思います。 事前に話さなければいけないことは、分かってはいるけれども、子供から、 または子供の周りからは、なかなか言えません。 日本人の美徳とも思いますが、周りが口出ししにくいテーマです。
また、周りが言い始めると、やっかいなことになりかねません。
かといって、亡くなった後は、相続人で協議しなければ進みません。 民法の法定相続では、子供の相続割合は均等相続であり、よく問題となります。 分けられないケースや不動産関係、生活看護や寄与分、生前贈与などもからんで、もめるケースがあります。 ご本人が生前に遺言書の作成、話し合いなどで決めてあれば、問題なく手続きを進めることができます。 遺留分のことが問題となっても、遺言書がないよりは、まだ傷を小さくできます。

ご家族のために、また、円満相続のために、ご本人が生前に準備することが大事なことです。

相続税対策についても同じことが言えます。相続人(子供や配偶者)が心配して、 相続税対策の実行を税理士さんと一緒に考えても、ご本人が納得し、実行していただかなければ、何もできません。

ご相続のことは、ご本人の意思で準備をしていただくことが大事です。

2012-06-02 Nicot

円満相続の法則①「反比例の法則」

最近、相続税のご相談だけでなく、ご相続全般や手続きに関するご相談も多くいただいております。 「ご相続」問題への社会的な関心の高まりを感じます。 相続実務の中で実感した円満相続のための法則をいくつか、ご紹介します。

「反比例の法則」
生前の相続準備期間・作業量と相続後に必要な手続き時間、作業量は反比例する。

つまり、生前にご本人と相続人との話し合い、遺言書の作成、資料整理などの準備がしっかりできていれば、 相続後の財産整理、遺産分割、相続手続き、名義書き換えなどの時間や作業量、 精神的負担は、少なくスムーズに済む、ということです。

残念ながら、実態は逆のケースがほとんどです。突然のことで相続人は何も把握できておらず、 何から手を付けてよいか困惑するケース、財産の把握に時間がかかり、 苦労するケース、相続人間で不信感がおこり争いとなるケース、 極端な場合、家庭裁判所まで行ってしまうケースもあります。 ご本にとっては、まさかの展開が亡くなった後に実際に起こっています。 「生前の遺言書さえあれば、こんなに時間がかかったり、もめたりすることもなかったのに・・・」 とならないためにも、生前に時間をかけて準備をするべきです。

相続税でも同じことが言えます。

事前の準備ができていれば、税額も少なく、納税もスムーズにできるでしょうが、 何も準備せずにご相続となった場合、税額も大きく納税資金の確保にも困るケースが起こりえます。

何事も「備えあれば憂いなし」。長期的・計画的な準備が重要です。 特にご相続に関しては、後々の手続きや人間関係、円満相続や納税を考えれば、早めの対策が一番です。

2012-06-01 Nicot

なにわ会で「第14回 全異連全国大会 IN関西」を開催し、ブース展示しました!

「なにわ会」という大阪の異業種交流会の主催で、5月26日(土)に天満橋のOMMビルにて、 「第14回全異連全国大会 IN関西」を開催しました。 当事務所としても、展示ブースを出展させていただきました。

初めての大阪大会で、しかも北は北海道から、南は九州までの全国の異業種交流会が一堂に会する大イベントでした。 なんと全国からの会員さん約300名、ゲスト約200名の合計約500名のご参加があり、 過去最高の参加人数とのこと。全国の活気あふれる経営者の方々で盛り上がり、大盛況でした。

私はなにわ会のメンバーとして、お手伝いレベルでしたが、全国の経営者の方々をお迎えして、 朝7時の設営準備から夜11時の2次会終了まで、充実した1日を過ごしました。 3月決算の申告もほぼすべて無事に終わったこともあり、最後まで落ち着いて全国のみなさまと異業種交流を楽しめました。 全国のみなさま、本当に、ご参加と温かいご協力をありがとうございました。 また、なにわ会の世話人と実行委員のみなさま、長い間のご準備など、本当にお疲れ様でした。

簡単にスケジュールをご紹介
10:30 開演(2F大ホール)
  地車囃子演奏
  開会宣言
11:00 第1部スタート
  食品物産店・ブース展示・ガールズバー
  プロジェクターによる単会CM及び企業CM上映
  企業お見合い・名刺交換会
15:30 第2部スタート
  講演会 (稲川淳二さん)
似顔絵漫画(いわみせいじ先生)
落語(桂梅團治師匠)
18:00 懇親会スタート
  東天紅(20F)
バイオリン演奏(籠谷紗希さん)、ベリーダンス(LIA&MALAIKA)など
20:00 懇親会終了、閉会、2次会へ

写真:なにわ会1

天神橋 税理士法人のブース展示

写真:なにわ会2

天神橋 税理士法人のプレゼンスピーチ前

写真:なにわ会3

懇親会で稲川淳二さんと2ショット。ホントに気さくな良い方でした

写真:なにわ会4

2次会で新世界の通天閣・串カツコースを選んだ北海道と千葉、東京のみなさんと。
私の後ろは、落語家の桂梅團治師匠。演芸会では最高に面白い落語をありがとうございました!

写真:なにわ会5

新世界の有名な撮影スポットにて、通天閣とビリケンさんとふぐ

写真:なにわ会6

ジャンジャン横丁の有名な将棋会所「王将」であの有名な坂田三吉先生が通われたところ。
映っているのは似顔絵漫画家のいわみせいじ先生です。

みなさま、全国から大阪までお越しいただき、最後までお付き合いをありがとうございました。
大阪を満喫していただいたようで、うれしい限りです。
また、全国大会でお会いしましょう。

2012-05-26 Nicot

国税庁から平成22年度の相続税の申告状況が公表されました。

平成24年4月、国税庁から平成22年1月から12月までの相続について公表されました。
(相続税の申告は、原則、平成23年10月31日までに提出されたものです)

平成21年度と平成22年度を比較すると、課税割合はほとんど変わらず、 平成22年度が4.2%、前年は4.1%でした。 平成22年4月から小規模宅地特例の厳格化による増税の改正がありましたが、それほどの影響はありませんでした。

100人がお亡くなりになって、約4人の方に相続税が発生した計算です。 この割合は、日本の相続税の課税割合でいえば、歴史的に低い水準です。 バブル崩壊以降の土地と株式の長期下落が原因です。
個人的な推測ですが、平成23年度以降は、東日本大震災・大津波の影響、タイ洪水・円高継続による景気の悪化があり、 不動産・株式は下落基調でしたから、さらに課税割合は低下する可能性があります。

今回の相続財産の中身を見ると、不動産・株式の占める割合は、それぞれ48.4%と12.1%となっていました。 不動産・株式ともに長期的に割合は下がっています。 逆に現金・預貯金の占める割合は、23.2%と上昇傾向にあり、高い水準となっています。

今回の発表資料で一番気になったことは、被相続人数(死亡者数)です。 平成20年が1,142,407人、平成21年が1,141,865人でしたが、 平成22年は、1,197,012人でした。前年比55,147人の増加(4.8%増)です。 このデータは、厚生労働省の統計情報部「人口動態統計」によるものですが、 この著しい増加は高齢化社会の表れと思われます。
今後、ますます高齢化することは明らかですし、 平成27年度から予定されている基礎控除の引き下げで一気に課税割合は高くなると見込まれますから、 相続税に対する早めの対策を長期的・計画的に実施することが重要と思います。

国税庁HPのサイト

2012-05-01 Nicot

相続税の悲劇。「財産課税」と「超過累進税率」の恐ろしさ

4月25日の産経新聞によると、大阪市淀川区の豪農屋敷「渡辺邸」が相続税の納税のため、 解体・売却されることになったとのこと。 江戸時代初期に2500㎡の敷地に建てられたもので、大阪府の文化財と指定されていたが、 相続税の納税のため指定を解除される。 大阪府の財政難で買取り資金が出なかったこともあるでしょうが、 400年以上前の歴史的な国家財産が消滅することは、本当に残念なことと思います。 税理士さんやオーナーの方、関係者の方々も、いろいろと対策を講じたことと思いますが、 オーナーの方の悔しさ・虚しさを察します。

相続税の2大特徴として、①財産課税と②超過累進税率があります。

①財産課税とは、収入・所得に課税されるのではなく、財産に税金がかけられる制度です。 つまり、収入を産まない不動産や換金できない非上場株式にも税金がかかります。 小規模宅地特例などの減額特例措置はありますが、評価金額が大きくなると、 特例措置も及ばず、とんでもない税額になります。 現金がなければ、利子を払って延納するか、納税のために物納や売却することになります。

②超過累進税率よは、所得税と同じですが、課税対象金額が大きくなると税率が大きくなります。 一番低い相続税率は10%ですが、課税遺産総額が3億円を超えるとその部分は最高税率の50%となります。

したがって、広大な自宅不動産、広大な遊休土地、収入を産まない不動産や非上場株式で金額が大きいものは、 相続税が大変になる場合があります。ほかに現金があるか、現金を産む不動産があればよいのですが、 収益性のない不動産だけで維持費だけがかかるような場合など、現金納付ができない可能性があります。

ご先祖様からの不動産を手放すわけにいかない、 ということで相続税の担保に入れて長期間にわたり延納(分割納付)しているケースも良くあります。 利息だけでも結構な金額ですから、相続人の方にとっては大変な苦労です。

「富の再分配による社会への還元」を命題とする相続税の制度がそうなっている以上、 仕方ないのですが、早めの一部処分、売却、収益不動産への転換などの方法で納税資金作りが重要な対策です。 やはり、相続税は長期的・計画的な対策が必要とつくづく思います。 勝手な私見で恐縮ですが、ご先祖様は子孫が相続税のために苦しむことは望んでおられないように思いますが、 いかがでしょうか。

2012-04-28 Nicot

遺言川柳・相続川柳の傑作集をご紹介

三菱UFJ信託銀行が毎年、募集・選考して公表している 「遺言川柳」や税務研究会の「税金川柳」、 ネット検索などから、相続・遺言・相続税にまつわる川柳を集めてみました。 相続税実務でも実感するシーンが多く、 個人的に思わず笑ってしまったお気に入り川柳をご紹介させていただきます。

1「遺産分け 不思議な人が 席につく 」(65歳・女性)
2「姑を 物納したい 相続税」紫敷布さん (愛知県)
3「六人で分けろと 五十坪の土地」東条さん(埼玉県)
4「相続人 六法全書を 立ち読みし」 永井さん(千葉県)
5「税務署に 親父のへそくり 教えられ」小泉さん(千葉県)
6「70代、兄弟喧嘩の、始まりだ」
7「遺産分け 行方不明が 舞い戻り」 匿名
8「入院す 「遺書 書いた?」と 聞く 愚息」 まほたんママさん(神奈川県)
9「うちの嫁 物納しても いいですか?」ひで爺さん (滋賀県)
10「遺産分け 取り残されている 遺骨」 (57歳・男性)
11「通夜の席 銀行マンが 勢揃い」ラスティックさん(北海道)
12「いらないと 言ってた者ほど 期待して」 良い子さん(新潟県)
13「相続は、定年過ぎに、やってくる」
14「拍子抜け ただ書いてある 精神訓」 原田さん(埼玉県)
15「一筆が 火種となるか 輪となるか」 (32歳・女性)
16「自立せよ それって 何もないことか?」 神野さん(岐阜県)
17「遺産分け 親不幸ほど よくしゃべり」 内輪もめさん(山口県)
18「ガン告知 離婚話も ご破算に」 斉藤さん(静岡県)
19「あの人も 親戚だった 遺書で知る」 松山さん(愛媛県)
20「財産は取り合い 位牌はゆずり合い」 山田さん(東京都)
21「遺書を見て 葬式ランク 一つ上げ」 佐藤さん
22「情よりも 法が出しゃばる 遺産分け」 河住さん(静岡県)
23「遺言を 老人ホームで 書かされる」 永瀬さん(千葉県)
24「号泣が ぴたりと止んだ 遺産分け」園田さん(鹿児島県)
25「遺言書 開封迄は 仲が良い」 (64歳・男性)
26「調査官 紳士的でも 無茶言うゼイ!(税)」(Nicotさん・大阪)
27「税務署の 調査能力 参ったゼイ!(税)」(Nicotさん・大阪)
28「相続の 前からモメテル 争族人」(Nicotさん・大阪)

遺言・相続の悲哀がピリッと効いた傑作集です。
やっぱり川柳は面白い。

2012-04-02 Nicot

平成24年度の公示地価が公表されました。

国土交通省が3月22日に、平成24年1月1日時点の公示地価を公表しました。 全国平均で住宅地は前年比2.3%の下落(前年は2.7%の下落)、 商業地は前年比3.1%の下落(前縁は3.8%の下落)となり、 4年連続の下落となりました。 平成20年秋のリーマン・ショック以降、地価がまだ低迷している状況です。

しかし、三大都市圏、地方圏の下落率(マイナス幅)はすべて前年よりも改善しており、 東日本大震災の直後の不動産取引を控える動きが収まり、 全国的に下げ止まり感が出ています。 昨年同様、地方圏よりも三大都市圏の下落率が改善されています。 三大都市圏の中では、大阪圏の下落率がまだ大きいのですが、 前年比でみると一番改善されているようです。

大阪圏の住宅地では、下落率が前年2.4%から1.3%へ、 商業地でも下落率は前年3.6%から1.7%へと改善。 東京圏の住宅地では、下落率が前年1.7%から1.6%へ、 商業地でも下落率は前年2.5%から1.9%へと改善。 名古屋圏では、住宅地の下落率が前年0.6%から0.4%へ、 商業地は下落率が前年1.2%から0.8%へと改善。 大阪圏は1年遅れで地価の下げ幅が縮小しているようです。

大阪圏では、地下の上昇地点が137地点(前年は2地点だけ)となり、 大型商業施設が開発されれている地域や 大型マンション開発地域を中心に大阪市内の一部で地価の上昇が多かったようです。

2012-03-23 Nicot

「人と話すのが好きになる本」が出版されました!

なんと私の名前が(ちょっと)入った本が、この2月に出版されました。

本のタイトルは、「人と話すのが好きになる本【輝く人生のために、今 自分を磨く】」。 本の出版も驚きですが、口ベタ・人見知りの私がコミュニケーションの本にかかわることが一番の驚きです。 とは言っても、奈良の異業種交流会で大変お世話になっている 森田実知夫さんの著書に相乗りさせていただいた格好ですが。

この本には、森田さんが主宰するNPO法人ジャパンスピリッツの 営業研究会セミナーの2年間で学んだ内容がぎっしり詰まっています。 森田さんのセミナーに参加したみんなと一緒に半年間で原稿を書き上げ、 協力者として名前を入れさせていただきました。

「この1冊で社内・得意先にモテル!」とうたっているように、 ビジネスで使える会話術が108のポイントにまとめられています。 実例も豊富で読みやすく構成されています。目次をみて、気になる部分に目を通すこともできますので、 ご興味のある方は、ぜひご連絡ください。

Amazonなどのネット通販で、1冊1200円で販売されています。

【構成】
第1章 使ってはいけない言葉・相手に伝わらない言葉
第2章 あいさつ
第3章 楽しくない会話・やってはいけないこと
第4章 こんな人とは話したくない・話の腰を折る人
第5章 興味を持って聞いてもらえる話
第6章 ほめる
第7章 同意と思いやり
第8章 質問
第9章 相手がグッと身を乗り出してくる話し方
第10章 相手をグッとひきつける話し方
第11章 ものを頼むときの話し方
第12章 話しの初めに伝えること
第13章 分かりやすい話し方
第14章 話しの順序と話法

写真:人と話すのが好きになる本

2012-02-20 Nicot

「株式会社ストライク 大阪営業所」を開設しました!

2012年1月17日(火)。 中堅・中小企業のM&A仲介に特化する株式会社ストライクの大阪営業所を開設し、営業所長に就任しました。

株式会社ストライク
代表取締役 荒井邦彦
東京本社  〒102-0085  東京都千代田区六番町3番地 六番町SKビル5F
大阪営業所 〒540-0026  大阪市中央区内本町2-1-19 内本町松屋ビル930

大阪営業所開設のお知らせ
写真:株式会社ストライク大阪営業所開設

昨年、仕事を通じて株式会社ストライクの荒井邦彦社長と知り合い、 そのご縁でトントン拍子に今日の日を迎えることになりました。 M&A仲介ビジネスは、今までの経験と知識、さらに公認会計士と税理士の資格を最も活かせる仕事で、 売り手・買い手だけでなく、地域経済・社会のために役立つ仕事です。 まさに「三方良し」の理念で、社会のために頑張りたいと思います。

もともとM&Aビジネスには、興味を持っておりましたが、 中堅・中小企業の経営者の方々と接していると、相続税のことも大事ですが、 最近は特に事業承継の悩みを持たれている方が多いと実感しておりました。 50%以上の中堅・中小企業で後継者不足の問題を抱えていると統計データでも出ております。
経営者の方にとって、ご相続と事業承継は密接な関係があり、大きな問題ですから、 この株式会社ストライクのM&A仲介を通じて、みなさまが満足するサービスを提供していきます。

2012-01-17 Nicot

2012年 明けましてあめでとうございます。

あけましておめでとうございます。 しかし、昨年(2011年)は、一生忘れられない酷い年でした。 東日本大地震、大津波、福島第一原子力発電所の事故、さらに台風被害も大きく、自然災害ばかりの一年。 亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。また、ご遺族の方には、心からお悔やみを申し上げます。 被災地のみなさまが一日でも早く復旧・復興できるように 私も仕事と寄付・納税・社会貢献を通じてお役にたちたいと思います。

海外を見ても、ギリシャ・イタリアを中心とするユーロ危機に、超円高と株価低迷、 タイの洪水被害など、ロクなことがありませんでした。

これからは、周りに良いことが起きることを期待したり、政治や景気に期待するのではなく、 コツコツと自分にできることを愚直にこなし、一歩一歩、 経験を積んで本当の自分の実力を少しずつ身に着けていきたいと思います。

今年の8月には、会計事務所の開業10周年という節目を迎えること、 今までの経験とご縁から始まる新たな取引や仕事にも意欲的に・積極的に取り組み、 社会のお役に立ちながら大きな飛躍の年にできればと祈念しております。 みなさま、本年もどうぞよろしくお願いします。

2012-01-01 Nicot